労働組合、NPO法人、ジャーナリスト、弁護士、大学教授などが主体となり、日本のブラック企業の頂点を決めるため、2012年から始まった「ブラック企業大賞」。
そんな社会的に意味のある企画で取り上げられた企業とは、一体どんなものなのだろうか?
日本の有名ブラック企業を学ぶことで、今後のあなたの人生を良くするヒントが見つかるかもしれない。
「ブラック企業大賞2013」受賞結果
受賞名 | 企業名 |
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大賞 | ワタミ株式会社 |
業界賞 | 株式会社クロスカンパニー (現ストライプインターナショナル) |
特別賞 | 国立大学法人東北大学 |
教育的指導賞 | 株式会社ベネッセコーポレーション |
その他ノミネート企業 | 株式会社サン・チャレンジ(ステーキのくいしんほ) 株式会社王将フードサービス(餃子の王将) 西濃運輸株式会社 株式会社東急ハンズ |
大賞「ワタミ株式会社」
国内600店舗以上の居酒屋チェーンを展開する「ワタミ株式会社」は、外食産業のみならず介護事業まで手を伸ばしている。
同社は、2012年ブラック大賞市民賞の受賞経歴がある。
悪質性が高いのは、2008年森美菜さん(当時26歳)の過労自殺に対し、ワタミ創始者の渡辺美樹会長は遺族に対し面談も謝罪もいまだに拒否を続けていることだ。
後に、この件で世間の批判が高まりワタミは赤字に転落。介護事業から撤退を余儀なくされた。
会社側の非を認めない真まで腐りきったブラックぶりが2年連続受賞の理由のひとつである。
業界賞「株式会社クロスカンパニー(現ストライプインターナショナル)」
人気の女性ファッションブランド「Eath Music&Ecolosy」を運営する「株式会社クロスカンパニー」。
同社では、ある女性社員が入社わずが5ヶ月で店長に任命を受けたが、その1か月後極度の過労・ストレスが原因で亡くなっている。
店長の職は多忙を極めるうえに、上司からの売り上げ目標必達の圧力は凄まじかった。
時には、マネージャーから「売上未達なのによく帰れるわねぇ」、本社会議では「売上目標が達成できなければ給与も休みも与えない」と告げられることもあった。
店舗の売り上げのため5万円以上の自腹購入も行っていた女性店長だったが、命を散らす結果に。
労働基準監督署は月111時間の残業を認定したが、実際の拘束時間はそれ以上だろう。
従業員を精神的にも肉体的にも追い詰め、逃げ道を断ち切り会社に服従させるのは、ブラック企業ではよくある手法だ。
現ストライプインターナショナルの企業理念には「(社員を含め)関わる全ての人々が家族の次に大切な存在~」とあるが、とても信じることはできない。
特別賞「国立大学法人東北大学」
宮城県仙台市にある「国立大学法人 東北大学」では、2007年薬学部助手の男性(当時24歳)が研究室から投身自殺した。
遺書には「新しい駒を探してください」の言葉。
自殺前、男性は十分な排気設備が整っていない研究室で「生殖異常の副作用がある抗がん剤」の実験を強いられ、友人には「もう子供はできない」と漏らしていた。
さらに月100時間前後の時間外労働、教授からの「仕事が遅い、なっていない、他の子を採用すれば良かった」などの陰湿なパワハラにより自ら命を絶つことに。
遺書にあった「新しい駒」とはつまり、「別の使い捨て人間を探してくれ」という意味だったのだ。
教育的指導賞「株式会社ベネッセコーポレーション」
育児、教育、介護、ペットなど幅広く事業を展開する「株式会社ベネッセコーポレーション」では2009年、「人材部付」という部署が新設された。
人材部付は、従業員の配属先を決めるまで再教育をする部署と位置付けられている。
しかし、実態は違っていた。
電話に出ることや社内ネットにアクセスすることを禁止される孤立状態で、社内の段ボール箱の片付けや備品へのテプラ貼りなど雑用仕事しか許されない。
ドラマ「ショムニ」のような、リストラ対象者に自主退職を促すのが目的の追い出し部屋であった。
わざわざ部署を作るとは、大企業ならではの分かりやすいブラックぶりである。
ノミネート企業「株式会社サン・チャレンジ」
外食チェーン店「ステーキのくいしんぼ」を運営する「株式会社サン・チャレンジ」では、2010年当時24歳の男性店長が店舗が入ったビルの非常階段で首吊り自殺をしている。
男性店長は月に162時間から227時間の時間外労働をしていて、亡くなる前8ヶ月間で休みはわずか2日のみ、90日間連続勤務の末、命を絶った。
残業代やボーナスの支給も無く、店長とは名ばかりの扱いを受けていた。
さらに、上司による嫌がらせ、いじめ、暴力も明らかになっている。
ノミネート企業「株式会社王将フードサービス」
「餃子の王将」でお馴染み「株式会社王将フードサービス」は、2013年うつ病を発症した男性社員(当時25歳)に損害賠償を求める裁判を起こされている。
月の平均時間外労働は135時間だったが、1日10時間を超える労働時間を入力できないシステムであった。
つまり、意図的に残業代を不払いにする仕組みが出来上がっていたことになる。
また、王将はブラック企業でありがちな軍隊式の社内研修を行っている。
当然、研修中は逃げ場のない合宿所に隔離され、王将5訓の暗唱や王将体操などを強要される。
そのような無意味な行為で精神を鍛えられると勘違いしているブラック経営者は多いが、現在の日本のビジネスでは全く通用しない。ただの愚かな行為である。
ノミネート企業「西濃運輸株式会社」
運送業大手の「西濃運輸株式会社」では、2010年「毎日12時間以上働かせ、サービス残業を強要した」と遺書に書き残し23歳男性が自殺した。
男性は亡くなるまで3度退職を申し出ていたが、会社側は1年以上拒否し続けていた。
もしも、退職が認められていたら、命を落とすことは無かっただろう。
男性の死は労災認定されたが、西濃運輸からの真摯な謝罪や反省は無い。
ノミネート企業「株式会社東急ハンズ」
人気の生活雑貨店を運営する「株式会社東急ハンズ」では、台所用品のチームリーダーを務める30歳男性従業員が突然死を遂げている。
男性が死亡した時期はバレンタイン商戦で多忙を極め、月平均90時間の時間外労働をしていた事がわかった。
東急ハンズ側は「残業の指示はしていない」と主張しているが、通常の勤務時間では対応しきれない程の仕事量を課していた。
2013年、男性の死は神戸地裁により、過労死と認められている。